通貨単位:JASMY
運用開始:2021年10月26日
開発者:Jasmy Corporation
公式サイト:https://jasmy.co.jp/
ホワイトペーパー:https://www.jasmy.co.jp/images/whitepaper20200618_eng.pdf
ソースコード:https://github.com/JasmyCoin/JasmyCoin
開発言語:JavaScript、Solidity
ジャスミーとは?
概要
ジャスミーは、単に送金や保有を目的にした暗号資産というより、IoTと個人データ管理のためのプラットフォーム内で使うことを強く意識して設計された銘柄である。
ホワイトペーパーでは、JasmyCoin は Ethereum 上に作られた ERC-20 ベースのカスタムトークンとされ、サービスの対価や価値交換の証明に使えるよう想定されている。
公式サイトでも一貫して、Jasmy の中心思想は「データの民主化」、すなわち個人データの主権を企業側から生活者側へ戻すことだと説明されている。
したがって、JASMY を理解するには、通貨としてだけでなく、個人データ、ID、IoT 機器、ログ管理、権限管理を結ぶ仕組みの一部として見る必要がある。
ジャスミーの特徴は、トークン単体よりも、その背後にある Jasmy Platform 全体の設計思想にある。
公式資料では、生活の中で生まれる個人データを本人が管理し、必要な相手にだけ許可して使わせ、その対価や履歴も追跡できる環境を目指している。
つまり JASMY は、個人データの利用許諾や価値交換を支える道具として位置づけられており、ここが一般的な「ただ送るためのコイン」とは見方が異なる部分である。
開発背景
ジャスミーが生まれた背景には、巨大プラットフォーマーに個人データが集中し、そのデータが企業側の都合で管理・分析・利用されてきたという問題意識がある。
公式サイトでは、私たちの行動履歴や生活に関する情報が巨大企業の中央集権的システムに集まり、本人が十分に主導権を持てていない現状を問題として挙げている。
さらにホワイトペーパーでは、企業の集中管理型システムは情報漏えいリスクも抱えており、Benesse や Facebook
の事例を引きつつ、データを企業の中に貯め込む構造そのものに無理があると論じている。
この問題意識に対し、ジャスミーは「データは本人のものである」という立場を取る。
本人が自分のデータを自分で管理できれば、企業は必要なときだけ許可を得て利用し、本人は提供範囲や期間をコントロールできる。
これは単なるプライバシー保護ではなく、データそのものを個人資産として扱う発想であり、公式サイトではこれを新しい「データ経済圏」の基盤として説明している。
ジャスミーの思想は、情報を隠すための技術よりも、情報を誰の意思で、どの条件で使うかを作り直すことに重心がある。
仕組み
ジャスミーの仕組みを理解するうえで重要なのが、SKC と SG という二つのコア機能である。
SKC は Secure Knowledge Communicator の略で、本人確認、登録、個人データの蓄積、データ利用の許諾、履歴の追跡を担う中核サービスである。
公式説明では、これによりユーザーは自分のデータを自ら管理し、企業側も常時データを社内保持せず、必要なときにだけ適切に利用できるようになる。
ここでは「データを預けっぱなしにする」のではなく、「必要な都度、本人が主導して開く」という考え方が採られている。
データの置き場所としては、ホワイトペーパーで「Personal Data Locker」が説明されている。
これは分散型ストレージ上に個人データや IoT データを保持する仕組みであり、ブロックチェーン上には巨大なファイルそのものではなく、主としてハッシュ値などの記録を書き込む設計になっている。
これにより、ブロックチェーン単体では扱いにくい大容量ファイルや処理速度の問題を避けつつ、改ざん耐性と追跡性を確保する構造になっている。
つまりジャスミーは、何もかもをチェーンに載せるのではなく、チェーンと分散ストレージを役割分担させている。
もう一つの SG は Smart Guardian の略で、IoT 機器とその持ち主を安全につなぐ役割を持つ。
ホワイトペーパーでは、SKC による本人側の認証に加え、機器側も所有者と結びつける Know Your Machine の考え方が示されている。
これによって、ユーザーだけが自分の機器を使える環境や、遠隔からのデータ送受信、コマンドの授受、ログ管理が可能になる。
要するに、SKC が「人とデータ」を守り、SG が「人とモノ」を安全につなぐ構造である。
さらに白書では、JASMY の役割をデータマーケットプレイスの中核に置いている。
企業はデータ利用の目的や範囲を明示し、本人の許可を得たうえで、その対価として報酬を与える。
本人は自分のデータ価値を認識し、企業は透明な形でデータを利用する。
ジャスミーが目指すのは、個人データをただ収集する世界ではなく、利用許諾・利用履歴・報酬の流れまで含めて制度化する世界である。
特徴
ジャスミーの最大の特徴は、トークンの存在理由がかなり具体的なことである。
ホワイトペーパーや公式サイトを読む限り、JASMY は抽象的な「分散化」や「コミュニティ」だけを掲げる銘柄ではない。
個人データを誰が持つのか、企業はどのように利用許諾を得るのか、IoT 機器と持ち主をどう結びつけるのか、どこにログを残し、どう追跡するのかまで、かなり踏み込んで設計思想が書かれている。
初心者向けに一言でまとめるなら、ジャスミーは「個人データとIoTの所有権を、ブロックチェーンで再設計しようとする銘柄」である。
第二の特徴は、ブロックチェーンだけに依存しない点である。
多くの初学者は、分散型サービスというと「すべてをチェーンに書く」と考えがちだが、ジャスミーはそうしていない。
データ本体は分散ストレージ、真正性確認や履歴管理はブロックチェーンというように役割を分けている。
この構造は、IoT 由来の大量データやログを扱う現実的な要件に合わせたものであり、理想論だけでなく実装上の制約も踏まえている点が実務的である。
第三の特徴は、トークンの価値を「個人データの利用許可」と結びつけていることである。
白書では、企業がデータを使うには本人の許可と報酬が必要であり、その報酬の仕組みがエコシステムの重要部分だと説明されている。
これは、データを無料で吸い上げる既存のプラットフォーム型モデルとは逆向きの発想である。
ジャスミーが他銘柄と比べて独特なのは、分散台帳技術そのものより、「誰のデータか」「誰が許可するか」「報酬はどう返るか」という権利設計をかなり前面に出している点にある。
第四の特徴は、ロードマップが段階的であることである。
白書では、普及期、価値成長期、エコシステム拡張期、マーケットプレイス拡張期という順で発展させる構想が示されている。
いきなり大規模なデータ市場を完成させるのではなく、まずは接点となるサービスを増やし、利用者と参加企業を増やし、そのうえでデータ流通と報酬の市場へ進む流れである。
この段階設計は、ジャスミーが最初から“完成済みの巨大経済圏”を名乗るのではなく、採用と実証を通じて広げる現実路線を取っていることを示している。
現実事例
現実事例として最も分かりやすいのは「Jasmy Secure PC」である。
これはリモートワークやモバイルワーク向けの PC セキュリティ製品で、PC 内の業務データをセキュアドライブとして管理し、その状態や操作履歴をブロックチェーンで記録する仕組みを持つ。
さらに、仕事の進捗確認とプライバシー配慮の両立、遠隔からの機能制御、ハードウェア状況の確認なども打ち出されており、JASMY の思想が「個人データ管理」だけでなく実務システムに落ちている例と言える。
次に分かりやすいのが、サガン鳥栖との取り組みである。
2022年にはスポンサー契約料の一部を JASMY で支払ったことが公式に発表され、その後はファントークンやアプリ施策へ発展している。
2025年には「さガッツ!マネー2025」として、サガン鳥栖公認応援ファントークン購入者向けにプレミアム付き商品券を発行する仕組みが案内されており、
スポーツ応援、地域活性、会員証、ポイント、商品券といった仕組みを Web3 的に組み合わせる事例になっている。
これは単なる暗号資産決済よりも、コミュニティ参加とサービス利用を設計する用途に近い。
医療分野では、2023年に「My Genome Guard」推進プロジェクトが発表されている。
これは全ゲノム解析を用いたオーダーメイド医療の発展を目指すもので、ゲノム情報のような機微情報を、ジャスミーの Web3 技術とブロックチェーンでより厳格に管理する仕組みを提供するとされている。
ジャスミーの思想が「IoT機器のログ」だけでなく、「高センシティブな個人データの管理」にも拡張されている点が興味深い。
また2024年から2025年にかけては、パナソニック アドバンストテクノロジーとの協業により、PDL の機能拡張、マイナンバーカードを用いた個人認証、IoT 接続 SDK、Jasmy
ベースアプリ、健康増進ウォークラリー実証、
そして「さガッツ!」向けの商品券・ポイント・ダイナミックNFT会員証発行サービスなどが報告されている。
ここまで来ると、JASMY は単一アプリのトークンというより、認証、データ管理、会員証、地域通貨、IoT 連携を支えるプラットフォーム部品に近い。
歴史
ジャスミーの歴史は、2016年の会社設立から始まり、2018年頃に PoC や提携を進め、2019年に Jasmy Initiative
とコンタクトセンター実証へ踏み出し、2020年に白書公開とトークン配布計画を示し、
2021年にプラチナデータ構想と Secure PC 構想、国内取引所上場を経て、2022年以降は Secure
PC、PDL、ファントークン、旅行DX、医療データ、地域・会員サービスへ広げてきた流れで読むと分かりやすい。
2024年以降はパナソニック アドバンストテクノロジーとの協業や、ガス代ゼロをうたう Jasmy ブロックチェーン、イニシアティブ拡充など、より実用プラットフォーム色が強まっている。
さらに2026年には、ジャスミーラボ株式会社名義で JasmyChain メインネット稼働、Jasmy MemePad 公開、第三者プロジェクト Jasmy Swap
稼働開始が発表されており、JASMY エコシステムは Web3 基盤側にも広がっている。
以下年表
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2016年
ジャスミー株式会社設立。IoT向けプラットフォームおよびソリューションの提供を事業として開始。
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2018年
Centralityとの業務提携を発表。PoC第1号としてSecure Knowledge Communicator(SKC)をJAPAN Blockchain Conferenceで公開。トランスコスモスやVAIOとの協業検討も進む。
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2019年
Jasmy Initiativeを設立。Jasmy IoTプラットフォーム普及促進を本格化し、日本初のブロックチェーンによる本格的なコンタクトセンターアプリケーションの開発・実証実験に着手。
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2020年
英語ホワイトペーパーを公開。MaaS分野での提携を発表。10月には「ジャスミー・コイン」配布計画を告知し、トークン活用方針を明示。
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2021年
プラチナデータ構想とセキュアPCコンセプトを発表。AIアプリケーションフレームワーク「KJエンジン(仮称)」開発に着手。10月26日にJasmyCoinがBITPointで国内取扱い開始。
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2022年
Jasmy Secure PCの販売開始。海外展開方針を公表。プラチナデータ幸福発見プロジェクトを開始。サガン鳥栖への契約金の一部をJASMYで支払い、ファントークンや旅行DX実証など用途を拡大。
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2023年
第二鍵を利用したセキュリティ技術の特許取得を公表。サガン鳥栖ファントークン施策を本格化。My Genome Guard推進プロジェクトを発表し、ゲノム情報管理へ領域を広げる。
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2024年
パナソニック アドバンストテクノロジーとの協業を開始。TECH+ EXPO 2024では、ガス代ゼロのJasmyブロックチェーン、分散型ID、ログ管理、地域通貨やNFT連携などを含むJasmyプラットフォームを訴求。
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2025年
パナソニック アドバンストテクノロジーとの協業成果第一弾を発表。PDL機能拡張、個人認証、IoT SDK、Jasmyベースアプリ、健康増進ウォークラリー実証、「さガッツ!」向け商品券・ポイント・ダイナミックNFT会員証サービスを展開。11月には「Jasmy Secure PC for Worklog」にLog Analyzerを搭載。
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2026年
ジャスミーラボ株式会社がJasmyChainメインネット移行完了を発表し、JASMYをカスタムガストークンとする運用フェーズへ移行。続いてJasmy MemePad公開、第三者プロジェクト「Jasmy Swap」稼働開始が案内され、エコシステムが拡張。
参考文献
- Jasmy公式サイト
- Jasmy会社概要
- Jasmy White Paper (2020-06-18, English PDF)
- JasmyCoin GitHubリポジトリ
- トークンの無償配布について(2021-10-28)
- プラチナデータ幸福発見プロジェクト(仮称)参加者募集について(2022-02-10)
- Jasmy Secure PC販売開始(2022-01-31)
- Jasmy paid for a part of sponsorship contract fee of Sagan Tosu through our native cryptocurrency, JASMY(2022-04-15)
- My Genome Guard推進プロジェクト(2023-11-27)
- パナソニック アドバンストテクノロジーとの協業開始(2024-03-26)
- TECH+ EXPO 2024 Summer for データ活用 出展(2024-08-19)
- Web3ベースプラットフォーム創造に向けた成果の報告(第一弾)(2025-09-30)
- サガン鳥栖応援アプリ上で新しいサービスの提供を開始(2025-09-01)
- さガッツ!マネー2025 公式ページ
- 日本発のブロックチェーン「JasmyChain」メインネット移行完了(2026-01-17)
- Jasmy MemePad公開(2026-01-24)
- Jasmy Swap稼働開始(2026-02-02)
- 日本初のブロックチェーンによる本格的なコンタクトセンターアプリケーションの開発と実証実験に着手(2019-06-27)