ステラルーメン(StellarLumens)

~国際送金のための分散型ネットワーク~
国際送金や資産交換を高速・低コストで実現するブロックチェーンプロジェクトのネイティブトークン。

通貨単位:XLM
運用開始:2014年7月(新ネットワークは2015年10月)
開発者:ジェド・マケーレブ(Jed McCaleb)、ジョイス・キム(Joyce Kim)
公式サイト:stellar.org
ホワイトペーパー:stellar.org/learn/stellar-consensus-protocol
ソースコード:github.com/stellar
開発言語:C++、JavaScript、Rust、Go、Java、Python




ステラルーメンとは?

概要

ステラルーメンは、厳密にはネットワーク名が「Stellar」、そのネイティブ資産が「lumen(XLM)」である。
設計の中心にあるのは、暗号資産そのものの売買よりも、異なる通貨や資産をまたいだ送金、資産発行、法定通貨との橋渡しである。
公式サイトでも、Stellarはグローバル決済、資産のトークン化、DeFiのための公開型分散ネットワークとして位置づけられている。

Stellarの基盤にあるのは、エネルギー効率が高く取引確定が速いコンセンサスアルゴリズム「Stellar Consensus Protocol(SCP)」であり、これにより数秒以内での決済が可能となっている。
StellarやXLM自体は、特定の企業や国の通貨よりもネットワーク参加者全体で信頼できる共通の仕組みとして機能することを目指している。

Stellarのソースコードはオープンソースとして公開されており、GitHub上で多数のリポジトリが開発・保守されている。
開発言語としてはC++ をはじめ、JavaScript、Rust、Go、Java、Python など多様な言語が使用されている。
これにより、さまざまな開発者が多様なツールやライブラリを網羅してエコシステムを拡張可能である。

一言でまとめるなら、ステラルーメンは「XLMだけを使うためのチェーン」ではなく、「さまざまな通貨や資産を、現実の送金や受け渡しに近い形で扱うための土台」である、と捉えるとわかりやすい。
XLM自体も重要だが、それ以上にStellar全体の役割を理解することが、この銘柄を読むうえで大切である。

開発背景

ステラが生まれた背景には、国や通貨、事業者をまたぐ送金の不便さがある。
公式サイトでは、Stellarは世界の金融インフラをつなぐオープンソースネットワークとして説明されており、開発初期から決済や価値移転を現実世界で使える形にすることが重視されてきた。
特に、銀行口座やカードを前提にしなくても価値を受け渡しできる仕組みを広げるという思想が強い。

また、Stellarは単に「早い送金チェーン」を目指したわけではない。
異なる通貨をネットワーク上で表現し、その間を交換しながら相手に届けることまで含めて設計された点が重要である。
たとえば、現実の世界では、日本円しか持っていない人が、別の国の利用者へ別通貨相当の価値を送りたい場面がある。
Stellarは、こうした複数資産間の橋渡しをネットワークの基本機能として扱う方向で育ってきた。

歴史的には、2014年の旧ネットワークはRipple系コードを改変した実装から始まったが、2015年9月に現在のネットワークへ再設計された。
この再出発で、合意形成はSCPに置き換えられ、stellar-coreもゼロから書き直された。
つまり、Stellarの現在の姿は「最初の試作をそのまま延長したもの」ではなく、送金インフラとしての安全性と独自性を高めるために作り直された結果である。

仕組み

Stellarの中核にあるのは、SCP(Stellar Consensus Protocol)である。
SCPはFederated Byzantine Agreementにもとづく合意方式で、各ノードが自分で信頼するノード集合を選び、その中で一定数の同意を得て合意を進める。
ここで使われるのがクォーラムセットとクォーラムスライスという考え方であり、PoWのような採掘競争でも、PoSのような大量保有前提でもなく、「誰を信頼するか」を各参加者が定義する構造になっている。

XLMはこのネットワークで特別な役割を持つ。
Stellarでは各アカウントが少量のXLMを保持しなければならず、また各トランザクションにはごく小さな手数料が必要である。
これは投機のためというより、スパムや無意味なデータ投入を防ぐためのネットワーク上の摩擦として設計されている。
公式の説明では、最低残高は1 XLM、最低手数料は0.00001 XLMである。

Stellarのもう一つの基礎は、資産発行のしやすさである。
Stellarでは任意のアカウントが資産を発行でき、その資産はコードと発行者で識別される。
これにより、法定通貨連動型トークン、他チェーン資産の表現、債券や株式に近い資産表現まで、幅広いトークン化が可能になる。
つまり、Stellarは「XLMだけが動くネットワーク」ではなく、「さまざまな資産を載せて動かす帳簿」として機能する。

現実の法定通貨との接点を担うのが、Stellarでいうアンカーである。
アンカーは銀行やフィンテックなどの事業者であり、法定通貨の入出金と、ネットワーク上のトークン発行・償還をつなぐ役割を持つ。
利用者が現金や銀行送金で預けた価値を、ネットワーク上のデジタル資産として受け取り、逆にトークンを現実の通貨へ戻すための出入口である。

送金の経路もStellarらしい。
Stellarには分散型取引所SDEXと流動性プールが組み込まれており、パス・ペイメントを使うと、送り手が出す資産と受け手が受け取る資産を変えながら送ることができる。
たとえば、送り手がXLMを出し、受け手がUSDCを受け取るような処理を、注文板や流動性プールを経由して一つの流れとして実行できる。

さらに現在のStellarは、もともとの決済・資産発行機能に加えて、Sorobanというスマートコントラクト基盤も持っている。
SorobanのコントラクトはRustで記述し、WebAssemblyとして配備される。
ただし、Stellarの本質は依然として「決済と資産移転を強く意識した基盤」であり、スマートコントラクトはその上に広がった拡張である。

特徴

ステラルーメンの最大の特徴は、送金、資産発行、両替、法定通貨との接続が、最初から一つの設計思想の中に収められている点にある。
多くのチェーンでは、送金はできても法定通貨の入出金は外部サービス任せ、あるいはトークン交換は別プロトコル任せになりやすい。
これに対してStellarは、アンカー、SDEX、パス・ペイメント、資産発行といった要素が最初から密接に結びついている。
だからこそ、「相手に何を届けたいか」から逆算して資産移動を考えやすい。

次に重要なのは、XLMの役割が比較的はっきりしている点である。
XLMはネットワーク上の最低残高や手数料の支払いに必要であり、流動性の薄い資産同士の橋渡しとしても機能する。
しかしStellarの設計思想では、XLMだけを万能資産として押し出すのではなく、むしろさまざまな資産が共存する前提で、その基盤通貨としてXLMが置かれている。
この立ち位置は、ネイティブトークンがアプリ全体の中心である設計とは少し違う。

また、Stellarは「誰でも資産を発行できる」一方で、現実世界との接点を扱うための実務的な配慮も強い。
アンカーや発行体の情報公開、各種SEPによる標準化、ウォレットや交換所との相互運用を重視した設計は、単なる実験的チェーンより、業務利用を意識した雰囲気が濃い。
これは初心者には少し地味に見えるかもしれないが、実際に人や企業が使う仕組みとしては非常に大きな意味を持つ。

さらに、SDEXと流動性プールがプロトコルに近い位置で組み込まれている点も見逃せない。
2021年にはAMM機能がProtocol 18として実装され、クロスアセット決済で流動性プールを使えるようになった。,
これにより、Stellarは従来の注文板ベースの交換だけでなく、より柔軟な資産変換の選択肢を持つようになった。
送金ネットワークとして始まった設計が、そのまま資産変換の実用性へつながっているのである。

最後に、現在のStellarはスマートコントラクト対応によって守備範囲を広げているが、それでも「何でも載せられる汎用チェーン」というより、「現実の支払い、受け取り、トークン化、入出金に強いネットワーク」という個性が残っている。
ここがステラルーメンを理解するうえで最も重要な部分であり、ほかの銘柄と比較したときの差別化点でもある。

現実事例

代表例としてまず挙げやすいのが、UNHCRによるウクライナでの人道支援金配布である。
Stellar Aid AssistとStellar Disbursement Platformを使い、受給者へ迅速かつ追跡可能な形で支援金を届ける仕組みが実運用された。
銀行口座を持たない受給者にも届きやすい構成が強みであり、Stellarの「現実世界の支払い基盤」という性格がもっともわかりやすく出ている事例である。
関連URL: UNHCR Case Study
Stellar Aid Assist

次に、MoneyGramとの連携はStellarを語るうえで外せない。
MoneyGram Rampsでは、対応ウォレットやアプリから、現金をデジタルドルへ、あるいはその逆へ変換できるようにしている。
公式説明では、銀行口座がなくてもStellar USDCを通じて現金入出金でき、MoneyGramの拠点網によって180か国超へ広がるアクセスが示されている。
関連URL:MoneyGram International Case Study
MoneyGram Ramps

もう少し生活に近い例としては、Decafがある。
Decafはノンカストディアル型ウォレットとして、送金、オン・オフランプ、商人向け決済などをまとめ、ラテンアメリカでの日常的な資金移動や支払いの改善を目指している。
公式事例では、現金中心の地域で給与支払いや日常決済の課題に対して、Stellar上のUSDCや現地通貨化の導線を使う姿が描かれている。
関連URL:Decaf Case Study

日本に近い話題としては、2024年にGMO TrustのGYENとZUSDがBitstampで扱われるようになり、その基盤としてStellarの高速・低コストなネットワーク特性が使われた事例がある。
これは「ステラルーメンそのものの利用」ではなく「Stellarネットワーク上の資産発行・流通」の事例だが、Stellarが日本円系ステーブルコインの文脈でも使われうることを示している。
関連URL:GMO Trust / GYEN・ZUSD 関連プレスリリース

歴史

ステラルーメンは、2014年にジェド・マケーレブとジョイス・キムによって設立されたStellar Development Foundation(SDF)によって公式にリリースされた。
プロジェクト開始当初から国際送金の効率化と金融包摂を目指し、Stellarネットワークには1000億の初期通貨が生成された。

その後、ネットワークは段階的な改良を経て現在の形に近い仕様となった。

2015年にはコンセンサスアルゴリズムが SBF から SCP へとアップグレードされ、より高速で安全な合意形成が可能になった。この変更は2015年後半にメインネットで稼働した。
2019年にはインフレ機構がコミュニティ投票により廃止され、総供給量が約500億 lumens に減額され、それ以降新しい XLM は生成されなくなった。
以降は SDF がネットワーク支援と開発促進のために lumens を配布・活用する仕組みとなった。

2021年には大手資産運用会社が Stellar 上でトークン化された米国投資信託を立ち上げるなど、金融機関との連携が進展した。
以降もプロトコルの改善やスマートコントラクト機能の拡張、国際標準対応の取り組みが進行しており、2025年に向けてもネットワーク機能の強化が続けられている。

  • 2014年7月

    旧Stellarネットワークがローンチされた。

  • 2014年7月

    Stellar Development Foundationの初期体制が公表され、Jed McCaleb、Joyce Kim、David Mazièresらが中心人物として示された。

  • 2015年9月

    現行Stellarネットワークが、新しい合意方式SCPと新実装stellar-coreで再始動した。

  • 2019年10月

    コミュニティ投票によりインフレ機構が終了した。

  • 2019年11月

    ルーメン供給量の大幅削減が実施され、以後は新規発行なしの体制となった。

  • 2021年2月2日

    USDCがStellarネットワーク上で利用開始となった。

  • 2021年11月3日

    Protocol 18でAMM機能が導入され、流動性プールが使えるようになった。

  • 2022年6月8日

    Protocol 19が有効化され、新しい取引条件や署名関連機能が加わった。

  • 2022年6月

    MoneyGram Rampsが展開され、現金とデジタル資産の橋渡しが強化された。

  • 2024年3月19日

    Sorobanスマートコントラクト基盤のメインネット稼働が発表された。

  • 2024年6月18日

    Protocol 21がメインネットで有効化された。

  • 2024年12月5日

    Protocol 22がメインネットで有効化された。

  • 2025年9月3日

    Protocol 23がメインネットで有効化された。

  • 2025年10月22日

    Protocol 24の安定性アップグレードが実施された。

  • 2026年1月22日

    Protocol 25(X-Ray)のメインネット投票が完了し、ZK系プリミティブ対応の基盤整備が進んだ。

参考文献

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